【完】恋の太陽、愛の月
カランカラン。
喫茶店に入ると懐かしいような鈴の音が鳴った。
「三名様ですね?こちらへどうぞ」
私たちは案内されるまま席に着いた。
「お二人はいつものでいいですか?えっと・・・そちらの方は?」
この喫茶店は私と咲夜の高校生時代からの溜まり場でもあった。
マスターと清水さんという女の店員さんしか従業員はいない。
それはここに通い始めてから一度も変わってない。
だから私たちが頼むものも分かってくれている。
私がミルクティー。
咲夜がコーヒー。
食べ物はさすがにその日その日で変えちゃうから無理だけど。
「あ、僕はメロンソーダで!えーっと・・・あとはスパゲティ!」
「あ、俺いつものなしでハンバーグランチを一つ」
「私もいつものなしでえびドリアください!」
「かしこまりました。いつものなしなんて珍しいですね?では少々お待ちください」
"いつもの"が気になったのか太陽君は清水さんが奥に入った後私たちを交互に見る。
「ど、どうしたの?」
「別にー?なんだか僕お邪魔なのかな?って。二人とももしかして付き合ってたりするの??」
「そんなわけないじゃん!何言ってるの太陽君!」
太陽君は「怪しい」とか言ってくすくす笑っていたけど、私は内心焦っていた。
本当に咲夜となんでもないのに、誤解されちゃったらどうしよう。
昔から咲夜はそういう事言われても否定しないから・・・。