【完】恋の太陽、愛の月
「わ、私トイレ行ってくる!!」
私は勢いよく立ちあがりあの場から逃げ出した。
トイレに入ると一目散にトイレの個室に入った。
そこで一息つく。
「私、太陽君には本気で誤解されたくない・・・のかな」
ふわっと私の頭の中に太陽君の笑顔が浮かんだ。
『ひな』
昔の太陽君も、今の太陽君も。
私にとって本当の太陽。
**
「ねぇ、ひな?」
「なぁに?」
「ボクひなのこと大好きだよ」
「私も大好きー!」
「じゃあ・・・約束してくれる?」
「やく、そく?」
「うん。あのね────。」
**
ふと思い出した記憶。
小さな公園で小指と小指を絡ませて笑顔でした約束。
あ・・・。
あの約束・・・。
「私、やっぱりずっと太陽君のこと好きだったんだ」
初恋の人は、永遠の人。
私は連絡がとれなくなっても、ずっと太陽君の事が好きだった。
でも、思春期の私はもう駄目なんだと思って勝手に過去にしていた。
もう一度芽生え始めた私の恋は小さく音を鳴らして走りだした。