【完】恋の太陽、愛の月



「そういえば急な予約だよね。誰からの予約なの?」


私はポニーテールにしていた髪の毛を一度下ろして、もう一度結び直した。


キュッとゴムを結び直すと気分も入れ替わる気がする。




「さーくんよ」


「咲夜!?なんで咲夜が花束なんて・・・」


「悪い?俺が花束予約したら」


「きゃっ!!咲夜いつの間にっ」


「さっきからいたよ。ひなたが花の手入れしてる時から」


「全然気づかなかった」




月城咲夜-ツキシロ サクヤ-

小さい頃からの幼馴染で小学校からの仲。



真っ黒な黒髪に黒ぶちの眼鏡。

切れ長の目に整った鼻と口。


初対面で見たらクールなイケメンと女の子に騒がれることもしばしば。




私はそんな咲夜の傍にいて、何度女の子からひどい視線を浴びたことか。




「で、なんで花束なんて予約したの?」


「今日教え子が遠くに引っ越すからそれで」



咲夜はここから五分ほど行った場所にある塾で講師をしている。


昔から「先生になる」という夢を持っていた咲夜。




確かに夢は叶っているんだろうけど、小学校や中学校、高校の先生をやりたがってたのにどうして塾の講師を選んだのかは分からない。



でもその塾の塾長に見染められ、いずれは塾長の座を咲夜に・・・なんて噂も流れてる。


本当かどうかは知らないけど。
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