【完】恋の太陽、愛の月
「あのさ、大事な話があって・・・。これから会えたりする?」
勇気を出して誘いの言葉をひなに伝える。
"OK"と言われるとばかり思っていた。
『あー・・・えっと今日はちょっと。咲夜が・・・じゃなくて!用事があって!!』
「無理ってこと?」
『う、うん。ごめんね??大事な話・・・聞けなくて』
一瞬だけ確実に咲夜という名前が聞こえた。
僕はその時確信した。
「ううん。大丈夫!じゃあ明日の夜いい?」
『夜?いいよ!明日は色んな場所巡るつもりだけど・・・その時じゃないほうがいいってこと?』
「うん」
『分かった!夜はちゃんと明けとくね』
「場所はまた明日電話するから!」
『はーい♪じゃあ用事あるから!!また明日ね!』
「うん。また明日」
ツーツーツー
空しく通話が終わった音が鳴る。
僕は携帯をベッドの上に置き、拳を作った右手でその隣を思いきり殴った。
ボフッと音をたてベッドのシーツが波打つ。
「・・・咲夜」
自分でも聞いた事のないほどの低い声で咲夜の名前を呼んだ。
「どうして邪魔するんだ」
今日僕がひなに告白するって喫茶店で言ったはずなのに。
僕に協力すると言ってくれたのは咲夜だったのに。
・・・まぁ、明日はちゃんと約束したから大丈夫。
僕は怒りをすぐにおさめた。