【完】恋の太陽、愛の月
本当の話。
僕は咲夜がひなを好きだなんてことは分かっていた。
分かっていながら、ひなを好きだと咲夜に告白した。
僕自身卑怯者だと思う。
でも、そうでもしなきゃひなを手に入れることなんて無理だと思ったから。
実際仮とは言え婚約者を勝手に作られた時、僕は焦った。
ずっとひなが好きだったのにどうして他の子を愛さなきゃいけないんだと思った。
転校までは我慢してもさすがにそこは譲れなかった。
だから親を説得した。
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「僕は婚約者なんて認めない」
「何言ってるの。朝比奈財閥にとって貴方にはあの子がいいのよ」
「理由は?」
「・・・それはだな太陽。朝比奈財閥と同じ地位、そして彼女は何と言っても頭がいい。経営がもしも傾いた時に支えてくれる妻がいてくれたらそれはそれは安心できるんだよ。見た目もいいし、パーティーの時も見栄えがいい。・・・そして太陽。お前は一人息子だ。お前は絶対に会社を継がなきゃいけない。だったら父さんたちの言うとおりにすれば安泰なんだよ」
「僕は二人の言うとおり転校もしたし、会社も継ぐつもり。でも、僕のパートナーだけは譲れない」
「・・・まさかまだ三井ひなたのことが好きなのかお前は」
「これからもずっとひなだけだよ。もしも、ひなとのことを無視して他の人と婚約させるつもりなら僕はこの家を出ていく。嘘じゃないよ。本気だ」
「何言ってるの!!まだ中学生なのにそんなこと無理に決まってるでしょ?そんな脅し私たちには通用しません!」
「脅しって思ってるならそれでもいいよ。勝手にすれば」
「太陽!!・・・あなたって子は」
「母さん。いい、何も言うな」
「でも!!」
「太陽。そこまで言うなら見せてみろ。お前の本気ってやつをな。・・・まずは東京大学合格だ。話はそれからだ」
「・・・いいよ。僕の夢はひなと死ぬまで一緒にいることだ。だから、その夢のために大学に行く。絶対に」
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