【完】恋の太陽、愛の月
僕はあれから必死に勉強をして東大に受かった。
高校はもちろん進学校。
大学にあがるまでは絶対にひなには連絡しないと自分でも決めていた。
その間に咲夜がひなを手に入れていたとしても、僕は奪うつもりだった。
でも律義に咲夜は僕との約束を守ってくれていた。
"僕の代わりにひなを守る"
そして、僕が戻ってきた時にひなは僕のものになる。
いい親友を持って良かったと思った。
反対に心から笑ってやれた。
だって僕なら約束を破って"代わり"なんかじゃなく、自分としてひなを守っているはずだから。
咲夜は下手に優しい。
僕はそこにつけこんだ。
でも今日初めて咲夜は僕に些細な抵抗を示してきた。
些細だからこそイラついた。
優しいからこそムカついた。
僕よりもずっとひなの傍にいたくせに、僕よりもずっとひなのことを見てきたくせに。
ひなを僕に譲るとか考えている咲夜。
もしも僕が咲夜だったらとどれだけ考えただろう。
僕が月城咲夜だったら。
「咲夜。知ってる?僕はね・・・」
誰もいない部屋で一人呟く。
「お前の事が大嫌いなんだよ───」