【完】恋の太陽、愛の月
「ひなた。今日はもう私がやるからいいわよ」
「今日はどうしてもずっとお店にいなきゃなのっ」
「たーくん可哀そうねぇ。さっきからずっと外であなたのこと待ってるのに」
「・・・え!?」
「あなたが一生懸命働いてる姿見てたわ。中に入ってもいいのよって言っても大丈夫って。・・・今はひと段落ついたんだから行ってあげなさい」
「・・・でも」
「しょうがないわねぇ。理由がなきゃ行かないんだから。タローのお散歩行ってあげて」
太陽君に少し会わす顔がなかったけど、お母さんがあまりにも言うから私はタローの散歩に行く事になった。
・・・これはタローの散歩。
太陽君に会うのはばったり。
だから、大丈夫。
手袋をはめて、準備万端。
私はタローのリードを握りしめながら外に出た。
外には寒そうに手を息で暖めている太陽君の姿がある。
「太陽君!!」
私は慌てて自分がしていた手袋を差し出した。
「ひ、ひな!」
驚いたような顔をする太陽君。
「こ、これはその。違うんだよ。たまたまここ通っただけで」
「・・・私もたまたまタローの散歩頼まれたの」
「・・・そっか!うん。そういうことにしよう!!」
お互い笑顔に包まれる。
その雰囲気が心地よかったのか、タローがその場に座りこんだ。
「タロー??散歩行かなくていいの??」
「ワン!」
タローは返事をしたかと思うと思いきり太陽君にすり寄っていった。
「ちょっとタロー!?」