【完】恋の太陽、愛の月
「あははっ。タロー!そういえば久しぶりだね!!小6以来だからなぁ・・・」
太陽君は慣れた手つきでタローを撫でまわす。
咲夜には敵意しか出さないタロー。
私は不思議でしょうがなかった。
「タローが暖かいから手も暖かくなってきた。ひな、手袋はひながしてなよ!せっかくの散歩だし、僕もついてく!・・・タローはだっこさせてもらうけどね笑」
「ふふっそうだね!」
タローもまんざらではないような顔で太陽君に抱きあげられる。
こうして私たちは散歩に出ることにした。
「用事って仕事だったんだね」
「え?・・・う、うん」
急にふられた言葉に私は少し動揺する。
「咲夜と一緒なのかと思った」
少し切なそうな、でも震える声で太陽君は私の返事に答えた。
「・・・え?」
「だって、急に二人とも用事できるって変じゃん」
「・・・それは」
「僕、やっぱり長い間二人と一緒にいなかったからいない方が良かったかなってすっごく思っちゃってさ」
「そんなことないよ!?」
「・・・ならよかった」
雪道をザクザクと進む音だけが聞こえる。
私は太陽君になんて言えばいいのか分からなかった。
二人きりになるのが無理だって思った理由が、まさか太陽君が好きですなんて言えるわけなかったから。