【完】恋の太陽、愛の月
ひなたが太陽のものになってしまった今。
俺が染谷の相手をしてしまったのも、ひなたに似ているからなのかもしれない。
・・・代わり、か。
最低だ。
俺がこいつを弄んでいいわけがない。
「ごめん。やっぱり一人で帰れ」
「ええ!?」
「用事思い出したんだ。またの機会に」
「期待したのにー!」
「ほら、さっさと帰った」
「ぶーぶー!!」
「途中までは道一緒だからそこまでなら行くよ」
「しょーがないな!それで我慢してあげる!」
俺は決して歩いている最中何も話さなかった。
隣では染谷が楽しそうに話しかけてきている。
でも俺は一切話が耳には入ってこなかった。
あいつの声を聞くまでは。
「咲夜??」
「・・・!?」
染谷が俺の服の裾をくいっと引っ張り小声で話しかけてくる。
「この人たち誰??」
「・・・」
少し黙った後、俺はこう言った。
「ただの幼馴染だよ───」