【完】恋の太陽、愛の月
目の前には太陽とひなた。
しかも手をつないでいる。
最悪な出会いを果たした俺達。
「あっ・・・これはね!?」
ひなたが慌てて繋いでいた手を離そうとした。
しかし太陽がそれを阻止したように見える。
「見ての通り。僕達付き合い始めたんだ♪」
「た、太陽君!!」
「咲夜は?その子・・・もしかして彼女?笑」
何故か太陽の言葉ひとつひとつに俺は引っかかっていた。
・・・いくら俺がひなたを好きだってこと知らないからって、軽々しく付き合い始めただとか染谷のことを彼女とか言うもんじゃないだろ。
太陽は悪くないはずなのに、俺の中では怒りが溜まってきているように思えた。
「・・・ああ。彼女だよ」
そう言って俺は染谷をぐいっとこっちに引き寄せる。
「えっ!?せんせ・・・!」
染谷が俺を先生と言いきる前に、手で染谷の口を塞ぐ。
「言ってなくて悪かったな。・・・お前らも付き合ってるならさっさと言えよ」
明らかに俺は機嫌が悪いという態度で太陽に話していた。
太陽はにこにこと笑っている。
「今日付き合い始めたんだ!メールとか電話すればよかったね・・・。ごめんね咲夜」
「・・・そうか。奇遇だな。俺らも今日付き合い始めたんだ」
とってつけたような嘘を俺は重ねていく。
染谷は俺の嘘についていけていないようで、俺と太陽の顔を交互に見ていた。