【完】恋の太陽、愛の月
「えっとですね。まずは応急処置をしていただいてありがとうございました。とてもいい処置をしていただいたので、大事には至りませんでした」
「あっ・・・良かったです!ありがとうね太陽君」
「僕は、そんな。それで今の状態はどうなんですか?」
「まだ体調が完全ではないので、少し入院していただくことになりそうです。一週間から二週間ほどですので心配なさらないでください」
先生の話を聞いたあと、私たちはお母さんがいる病室に向かった。
本当は大部屋になるはずだったんだけど、太陽君が「お金の事は心配しないで」と私に言ってくれた。
だから場所は個室。
すごく申し訳なかったけど、私も本当は個室にお母さんを入れてあげたかったから嬉しい言葉でもあった。
・・・もっとお仕事頑張らなきゃ。
私たちが部屋に入るとお母さんはうっすら目を開けていた。
「お母さん!!」
「ひなた?」
弱々しく答えてくれたお母さん。
まだ少し元気はないけど、ちゃんと目の前にいる。
・・・お母さんが倒れてしまうところを見たのは20年間生きてきて初めてだった私。
お母さんが死んでしまうんじゃないかって頭の中に何度もよぎった。
「心配かけてごめんね」
「ううん・・・!太陽君がね?お母さんを助けてくれたようなもんなんだよ!」
「あら・・・」
お母さんは私の後ろに立っている太陽君を見て微笑んだ。
「ありがとね。たーくん」
「・・・いえ。僕は本当何も」
「ねぇたーくん。私先生に聞いたのだけれど、今日から入院するの。だからお店もひなたに任せなくちゃならない。・・・よかったら手伝ってあげてね?差し出がましいお願いだけど・・・ひなたが寂しくならないよう傍にいてあげて」