【完】恋の太陽、愛の月
「ちょっと!お母さん!」
「いいんだよひな。僕もぜひそうしたい」
太陽君は私の方を見てにっこり笑った。
そしてお母さんに「頑張ります」と言って指切りをしていた。
それから私たちはお母さんに明日もお見舞いに来ると伝えて病院を後にした。
「買い物してから帰ろうか」
「そうだね。・・・二人きりだもんね」
自転車を押しながら歩く太陽君。
その隣を歩く私。
今言った"二人きり"という言葉に自分で恥ずかしがりながらも、雪の道を太陽君と歩いた。
「今日は二人でご飯作ろうか。ひなのお母さんが退院した時にものすごく美味しい料理振る舞いたくない?」
「あ・・・!それいいね!じゃあ今日から練習だぁ!」
「うん!っていっても三日間の間ひなが作ってくれた料理食べたけど、すごく美味しかったよ」
「あ、あれはお母さんが手伝ってくれたからで・・・!」
「それでもいいんだよ」
太陽君のペースに流される私。
でもこんな雰囲気がすごく好きだった。
私たちは幼馴染から一歩進んだ関係で、でも何も変わってなくて。
ただ幸せな時が流れていく。
一緒にいなかった日々を取り返しているようなそんな日々。
ううん。
やっぱり少し変わってる。
だって、太陽君が好きって気持ちを堂々と本人に伝えることができるんだから。