【完】恋の太陽、愛の月
【咲夜side】


………

……







こんなにも長い間ひなたと会わなかったことはない。


といってもたったの四日目。

でもそれほどまでに俺らは毎日顔を会わせていた。



今俺はひなたの店の前にいる。

どうしても一歩が踏み出せず、遠くからひなたと隣にいる太陽の姿を見ているだけしかできなかった。



ここに足を運んだ理由は、おばさんが倒れたと聞いたからだった。

律儀にもひなたがメールを送ってくれたのだ。



『お母さんが入院したの。よかったら、お見舞い行ってあげて』


前までのひなたならきっと『一緒にお見舞い行かない?』だったと思う。


俺の想像だけど。

案の定そのメールに返信は返さなかった。



・・・こんな時つくづく思う。

俺は小さい男だったんだなって。





「先生?こんな所で何してるの?お花屋さん・・・?」


「染谷!?」


「そんなに驚かなくてもいいのに!塾の帰りじゃん!先生と帰ろうと思ったのに先帰っちゃっててびっくりしたぁ」


「・・・悪いな」


「ぜーんぜん!てかここのお花屋さん確かうちのママがよく花買いに来るお店だね!!」



染谷が中をちらっと覗く。

「おい!あんまり中見るなよ」


俺は慌てて染谷の手首を掴む。


「あっ咲夜!久しぶりぃ♪」


「え!?咲夜?本当だ!彼女さん・・・?と一緒なんだ!いらっしゃい!」



太陽に見つかり声をかけられてしまった。

・・・こんなはずじゃなかったのに。
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