【完】恋の太陽、愛の月


染谷は申し訳なさそうにひなたからその押し花をもらった。


「・・・ありがとう、ございます」


「ううん!!えっと・・・名前はなんて言うの?」


「染谷楓、です」


「楓ちゃんか!!覚えた!!私は三井ひなた。よろしくね」


「・・・あの」



笑顔で握手を求めるひなた。

でもそんなひなたの握手をスルーして、染谷がこう言った。



「お店が休みの日、どこか一緒にグループデートしませんか?」


それはあまりにも唐突だった。

何もかもをすっ飛ばした発言に聞こえた。



ひなたも、太陽も俺も。

いきなりの言葉に動揺した。



「おい何言ってんだよ。いきなりすぎることを」


「いいでしょ?私もこの二人と仲良くなりたいんだもん。ねぇ、咲夜君」




"先生"ではなく"咲夜君"とふいに呼ばれた俺は、余計に戸惑いながらも「あ、ああ・・・」としか返せなかった。


染谷は一体何を考えているんだ。



「わ、私は全然大丈夫!むしろ楓ちゃんと仲良くなりたいし!太陽君は?」


「僕も大丈夫。それにデートも行きたいって思ってたところだしね。まさかグループデートができるなんて思ってなかったけど笑」


「ありがとうございます!じゃあ携帯のメアドと番号も交換していただけますか?」



染谷はぐいぐいとひなたたちに近寄っていく。





結局染谷はひなたと太陽、二人と連絡先を交換したあと俺を連れて店を出た。
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