【完】恋の太陽、愛の月
携帯を開くと12月15日という日付が見えた。
この町に戻ってきて、もう二週間はたつ。
ひなが僕のものになって、心の底から幸せだ。
でも、足りない。
咲夜のひなへの想いが。
「あ、ひなー!咲夜から電話きたよ。もう行ける?」
「お、おまたせ」
僕の言葉を聞いたからなのか、さっきよりも少しスカートが長めになっている。
嬉しくなって思わずひなに抱きついた。
「えっ!?た、太陽君!?」
「大好きだよひな」
「私も、大好き」
僕はひなの手を握り、家を出る。
外には咲夜の車が止まっていた。
「咲夜!久しぶりだね」
車の後部座席のドアを開け、運転手の咲夜に話しかける。
助手席にはあの女が乗っていた。
染谷・・・なんだっけ。
ひな以外の女には興味がないから覚えていない。
でも確かそんな感じだった気がする。
「寒いから早く乗れ」
「分かってるよ。はい、ひな乗って」
「ありがとう!」
ひなが先に車に乗って、僕がその後に続いた。
「咲夜おはよ!楓ちゃんも!」
「・・・おう」
「おはよう、ございます」
ひなのあいさつに二人ともぎこちなく答えた。
それも僕にとっては気に入らなかった。