【完】恋の太陽、愛の月
運転席で一体咲夜はどんな顔をしているんだろう。
後ろからは見えないからなんとも言えない。
「た、太陽君」
そんな時、ひなが声をかけてきた。
「何?ひな」
「それ以上は、その。やめてあげて?」
「・・・僕は、本当の事言っただけだよ」
気付くと、車の運転が少し荒々しくなっている気がする。
咲夜はちゃんと表に感情を出さない分小さなところで何かが変わってくる。
だから分かりやすい。
「・・・遊園地。楽しみだねひな」
「う・・・うん」
初めてのちゃんとしたひなとのデート。
車の中の雰囲気は一気に重くなった。
そんな中、助手席の子が自分の持っているミラー越しに僕に目線を送ってきた。
なんともいえない表情。
だけど僕は馬鹿じゃないから分かる。
彼女は僕をこの瞬間に嫌いになったんだってこと。