【完】恋の太陽、愛の月
朝比奈太陽-アサヒナ タイヨウ-
私と咲夜の幼馴染。
小学六年生の頃に東京に転校してしまった子。
連絡は取り合っていたんだけど、どっちからともなく次第に連絡しなくなっていった。
今何をしているのかも分からない。
でも、たった一つ言えることはその頃の私は太陽君に対して淡い初恋を抱いていたということ。
それは咲夜にも言っていない。
三人で遊んでいる時も楽しかったし、言わなくてもいいと思っていたから。
とりあえず、小学六年生以来太陽君とは会っていない。
そんな彼が今日急に帰ってくる。
「あら、どこか行くの?」
「お母さん!!ちょ、ちょっと太陽君迎えに行ってくる!!」
「まぁたーくん?」
「らしい・・・!!とにかくいってきます!!」
お母さんの「いってらっしゃい」の言葉を最後まで聞く前に、咲夜と一緒に小走りで駅に向かった。
「雪止んでて良かったな。花束濡れないし」
「咲夜が急かすから傘も持たずに出たんだよ?降ってたらどうするつもりだったの!?」
「・・・気合いでなんとか」
「ばっかじゃないの?」
「ったく。喋ってないで足動かせ」
「分かってるってば!」
まだ柔らかい雪を踏みしめ、私たちは駅に急いだ。