【完】恋の太陽、愛の月
観覧車に乗った後、俺達は新しいアトラクションに四人で乗りまくった。
皆でそのアトラクションの感想を言い合ったり、何かを食べたりもした。
今日の一日で俺らは、ぐんっと近づけた気がする。
今まで俺とひなたと太陽だけだったメンツに楓が加わったようなものだ。
楓は特にひなたと仲が良くなった。
正直、心の中ではすごく不安だったけどその不安は的中しなかった。
ただ一つ気がかりなのは楓が太陽を何気なく避けていることだった。
「楓は太陽の事嫌いか?」
太陽とひなたが近くにいない時にこっそりと聞いてみる。
「・・・ごめんなさい。大嫌い」
すると、正直すぎる答えが返ってきた。
理由は聞かなかったがなるべく太陽とは離れていた方がいいだろう。
少しだけ太陽も楓に対してあまり良い感情を持っていないようにも思えたし・・・。
俺とひなたがいるからいる、そんな感じがしてならない二人だった。
絶対二人きりにさせないようにしないといけないかもしれない。
そして楽しかった一日も終わり、帰る時間となった。
帰りの車は行きの車なんかよりもずっと快適だった。
始終太陽は機嫌がいいし、ひなたも楽しそうに笑っている。
助手席の楓は疲れてしまったのかうとうととしていて今にも寝てしまいそうだ。
その寝顔を見て、俺は自然にほほ笑んだ。
こうして楓の寝顔を見ていると、選択をして良かったと心の底からそう思える日がやってくると思えてならない。
「咲夜」
「なんだ太陽」
「今日はありがとう」
「いいよ。また機会があったら行こう」
「もちろんだよ。ね、ひな?」
「・・・」
バックミラー越しにひなたの姿を確認してみると、ひなたもいつの間にかぐっすりと寝てしまっていた。