【完】恋の太陽、愛の月
「それならいいけど」
それきり太陽との話は途切れた。
本当は太陽に聞いてみたいことがあったけど、いくら寝てるからと言って楓とひなたの前で聞くような話ではないからだ。
特にひなたには聞いてほしくはない。
どうして太陽は変わりかけていたのか、ということ。
いつもにこにこしていて、明るくて。
誰にでも優しく裏表もない性格。
ずっと太陽はそうだった。
転校しても変わらないと思っていた。
そりゃあ大人になれば少しは変わってくるかもしれない。
でも、あの時の太陽は全く変わっていた。
・・・俺は慌てずに一人称と喋り方が変わっただけと言ってはみたが。
明らかにそうではなかった。
勝手に推測して家庭環境が・・・とか思ってもみたが、やっぱり本当のところを知りたい気持ちもある。
だから、そう遠くない日に聞こうと思う。
「着いたぞ」
「あ、ひな起きて!着いたよ!!」
「んー・・・」
「もう。しょうがないなぁ!」
「大丈夫か?一人でひなた運べるか?」
「ひな、軽いし大丈夫!!今日は本当ありがとう!じゃあ!」
こうして、少しだけ波乱のあったダブルデートは幕を閉じた。