【完】恋の太陽、愛の月
今更ながら余計に心臓がドキドキと音を鳴らせ始めた。
そわそわしながら駅のホームで待っていると聞き馴染みのない声で私の名前が呼ばれる。
「ひな」
ゆっくりと呼ばれた方を見る。
そこには、笑顔の変わらない彼がいた。
「太陽、君?」
「うん」
身長は咲夜と変わらないぐらいの175cm前後。
目は少したれ目気味で大きくまつ毛も長い。
高い鼻と形のいい唇も私の目を奪う。
髪の毛は全くの正反対で、茶色くふわふわだった。
前髪はピンで止めてあり服装もここらへんではあまり見かけない様なものだった。
都会から来ましたというオーラをふんだんに醸し出している。
でもそれが嫌みには感じず、ただぼけーっと見続けてしまった。
「ふふっ。ひな?その花束って僕の?」
「あっ・・・うん!ど、どうぞっ」
急に呼びかけられ私は慌てて対応する。
緊張は最高潮に達していた。
笑顔は昔と変わらない。
でも明らかに色々と変わっている。
「ありがとう♪綺麗だねぇ・・・。咲夜から聞いたけど、これひなが作ったんでしょ?」
「そ、そう・・・です」
「なんで敬語なの?変なひな~」
私とは反対に全然緊張もしていないような余裕の表情。
ここまで緊張している自分が馬鹿にみえてきた。