【完】恋の太陽、愛の月
「最低」
「痛・・・。ひなた、お前話も聞かずに叩くのはおかしいだろ!」
「咲夜なんて知らない。楓ちゃんも知らない。勝手にすれば!・・・せめて一言最初に教えてくれてれば私だって別に・・・!」
これは多分私の言いわけ。
きっと最初に教えてくれてれば、今みたいに咲夜を叩く事はしないと思う。
嘘をつかれた、ということが私にとっては辛かった。
でも、それ以上に何かが私の胸の中で引っかかっている。
だから言いわけ。
「ひなたさん。・・・叩く事、ないじゃん」
「え?」
「先生がどんな思いでずっといたのか知らないくせに!!!!」
「・・・何?逆ギレってやつなの?楓ちゃん。そんな子だと思ってなかった」
「私だってひなたさんがそんな・・・手を出す人だって思ってなかった!・・・そもそも先生の気持ちも分かってないくせに、先生と生徒がとかいう権利ないと思う」
「・・・意味わかんない。帰るね。買い物もあるし用事もあるから」
私は二人に背を向けて歩き出した。
もしかしたら、このまま二人の前から姿を消せば咲夜とももう今までのように接することはできないかもしれない。
幼馴染なんてそんなことで簡単に切れてしまう。
・・・ずっと一緒にいたってこんなものだよね。
所詮ただの幼馴染、だもんね。