【完】恋の太陽、愛の月
「・・・先生は!ひなたさんが好きなんだよ!?」
「おい、楓っ」
楓ちゃんの言葉に私の進み始めた足が止まった。
今楓ちゃんはなんて・・・。
「言わせて下さい先生」
「いや、俺は・・・」
ふり返ると、楓ちゃんが咲夜を押しのけてこっちにやってきていた。
真っすぐで力強い瞳が私の目を覗きこむ。
「先生はずっとひなたさんが好きだったの。ひなたさんの彼氏と同じくらい・・・ううん!もっともっとひなたさんが大好きだったの!!」
「・・・」
「だから私がひなたさんの代わり。そんな私を先生は頑張って受け止めてくれた」
「楓・・・もうやめろ」
「代わりじゃなくて私を本当の彼女だって・・・言ってくれた!!」
「楓っ!」
楓ちゃんは咲夜の呼ぶ声も聞かずに私に話し続ける。
「でも、心のどこかでずっと分かってる事があるんだ。・・・ひなたさんには勝てないって。どれだけ隣にいて手を繋いでいても、どれだけ傍にいても、先生はひなたさんのことを忘れようと必死な時があるの」
「咲夜が・・・私をって。あり得ないよ楓ちゃん。嘘はやめて」
どうしても信じられなかった。
咲夜が私を好き、なんて。