【完】恋の太陽、愛の月



「嘘なわけないじゃん」


「・・・楓ちゃん」




楓ちゃんはメガネの奥で涙をためていた。

今にも溢れだしそうなのをこらえている。



さっきまでの力強い眼差しはなくなっていた。



「嘘だったら・・・どれだけ私が幸せだったか。分かる?ひなたさん」


「私は・・・」


「ひなたさんは幸せだよね!自分の好きな人が隣にいて、自分を見てくれてるから。でも私たちは違う。先生はひなたさんを、私は先生を。ずっと終わらない追いかけっこのまま!・・・先生はひなたさんを諦めたいのに諦められない。この気持ち分かる!?」





私の知らなかった事実。


突然に突きつけられた咲夜の想い。




楓ちゃんの一歩奥にいる咲夜を見ると、もう諦めたような顔をしていた。


それがどういう気持ちでしている顔なのか私には分からない。





「たった数日。たった数日でも私は先生の一番になれてた。・・・それだけでもう十分!ひなたさん。お願い。先生の想い・・・ちゃんと聞いて?」





空には太陽、澄んだ青空。






私の心は晴れのち大雪。
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