【完】恋の太陽、愛の月
だけど俺はすぐに我を取り戻した。
「・・・っ!ごめん」
ばっとすぐにひなたの体を自分から離して、そっぽを向いた。
今ひなたがどんな表情をしているのかも見る事ができない。
「今の忘れて」
ぱっと浮かんだ言葉がそれだった。
俺がひなただったら絶対に忘れるなんてできないだろう。
「さっきのは・・・その。なんっつーか、勢いとノリってあるだろ?簡単に言うと冗談だよ。冗談。間に受けるなよ?」
だからとっさに付け加えの嘘を吐いた。
普段の俺からして冗談なんて言うタチではない。
見え透いた嘘でも、ついた方がましだろう。
「・・・咲夜の、バカ」
「え?」
小さな声で俺をバカと言ったひなた。
目線だけをひなたに戻してみると、顔を真っ赤にして俺の胸元を見ていた。
「咲夜なんて・・・知らない!!!」
「お、おい!」
予想もしなかった反応を残して、ひなたは走っていってしまった。