Dreamer
スタートライン
今日は新入生実力テストの日。

この2週間、やれることはやってきたつもりだけど...

「やっぱり不安だぁーー!!」

学園の屋上で大声で叫んでも、私の声は儚く消えていった。

[はぁ...しかも。]

「なんじゃこの格好ーーー!!!」

伝統かなんだかしらないけど、女子はドレス、男子はタキシードで発表を行うらしく。

着なれないピンク色でふわふわしているドレスなんて、恥ずかしくて死にそうだ...。

ため息をついたとき、同時に屋上の扉が開いた。

「みずきっ!!」

「優...」

優が眉間にシワを寄せて近づいてくる。

「何してんの!もう、本番はじまるから行くぞ。」

「ま、待って!」

「みずき?」

優が私の顔を覗き込むように首をかしげる。

「私...えっと、その..」

「みずき。緊張、してる?」

見透かしたように言われた言葉に、思わず肩を揺らしてしまう。

「そんな、こと...!」

体中が震えだす。

もうそれが隠しきれなくなって、どうしようもなくなったとき、優が私の手を握って言った。

「みずき、わかる?俺も震えてるの。」

「...!」

優の言ったみたいに、優の手も小さく震えていた。

「さっきからずっとなんだよね~いや~。」

"困った困った"と頭をさわりながら優は言った。

「優も、同じ...」

呟くように言うと、優は手に力をこめた。

「そうだよ。俺も緊張してる...でも、みずき。」

名前を呼ばれて顔を上げれば、優はいつもの笑顔で笑っていた。

「みずきなら、大丈夫だ!」

「.....ありがとう、優。」

「んじゃ、いくぞ!!」

「うん!!」


優の後ろを走りながら、私は、繋がれた右手を温かく感じていた。


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