Dreamer
パチパチパチパチ

拍手が聞こえる。

位置について私はゆっくりと目を開ける。

そこに広がるのは大勢の人たち。

私はそっと拳を握る。

「では、発表を始めてください。」

司会の人の合図で、会場は一気に静まりたくさんの人の視線が自分に向けられている。


[みずきなら、大丈夫だ!]

そう言ってくれた優の言葉を思い出しながら、私は深く深呼吸をする。

自分の夢を叶えるための、最初の一歩。

あのプリントに書いた夢は、"誰かを、笑顔にできるような歌を歌うこと"

そして私は、ギターの弦をはじいて、歌いだす。

「♪----ボクが出会った人は
 ----とても不思議な人だった
 ----だけど なぜかいつも キミの笑顔につられて
 ----ボクも笑顔になっていた
 ----何回もその笑顔に救われて 優しいキミに
 ----甘えてばかりのボクだけど
 ----いつかキミに 負けないくらい
 ----誰かを救えるような 人になりたいと...

 ----キミとボクが出会えた奇跡を
 ----ボクはずっと歌い続けよう...この声が枯れるまで♪」

優との出会いを歌った曲。

今日のテストで歌を歌おうと決めたとき、頭に思い浮かんだのがこの歌詞だった。

今日は練習で歌ったどのときよりも、上手く歌えた気がした。

そしてすべてが終わった瞬間、大きな拍手と歓声が私を包み込んだ。

「ありがとうございました!」

精一杯感謝して、私は舞台そでに戻った。



「ふぅー」

張りつめていた緊張がとれ、息をはいたとき私は目があった。

自分のことのように自慢げに笑うあの人と。

「みずき、すっげーよかった!!」

「ありがとう、優のおかげだよ!ホントに..あり、がとう..うぅ..」

いっぱいお礼を言いたいのに、涙が邪魔をする。

子供みたいに泣きだした私の頭を、優は優しく撫でてくれた。

-----「スタンバイお願いします!!」

優の番がきて、ガッツポーズを作りながら優は言った。

「みずきに負けないくらい、俺も頑張ってくるぜ!」

「うん!私も見てるよ、優!」

返事の代わりに拳をグッと上に突き上げて、優はステージに出て行った。

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