Dreamer
舞台そでから見る優の横顔は、真剣だけどどこか笑っているように見えて...まっすぐ前を見据えていた。

「では発表を始めてください。」

[頑張れ、優!]

司会の声と私の思いが重なった瞬間、ずっと止まっていた優が動き出した。

それは、流れ出した曲に合った切なくも儚くて、それ以上に優しいダンス。

優のダンスを見て私は気付いた。

---[...やっぱり、俺達って似てるな。]

さっき優が言っていたことの意味。

その答えは優を見ていればすぐにわかった。

優の夢は、"誰かを笑顔にできるダンサーになること"なんだって。

[誰かを思う]

その気持ちは、私が歌を歌うときの気持ちに似ていた。

だから、優も同じなんだとわかったとき、私は胸が熱くなった。



見事、優は踊りきって舞台そでに戻ってきた。

「優!!すっごくすっごくカッコよかったよ!」

感動しすぎて声が震えてしまっているけど、そんなこと気にしなかった。

優の言ってくれたことが、ただ嬉しくてたまらなかった。

「ったく、落ち着けよみずき。まだ大事なことが終わってないぜ?」

「そ、そうだった...!」

優が呆れたように言うのも無理はなかった。

だって、まだ合格発表が終わってないのだから。

そう思ったら、また肩に力が入る。

「大丈夫だ、自分を信じようぜ、みずき。」

そんな私に気付いたのか、優は安心させるように優しく言ってくれた。

「うん、そうだね。」

私は目をつむり、大きく息を吸い込んで、結果を待つ。

合格者の中に、二人の名前があることを信じて...。
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