Dreamer
優しい時間の中で
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[咲、何を頑張ればいいの?]
優に手をひかれながら、私は頭の中でグルグルと"答え"なんかでないことを考えていた。
優の名前を呼ぼうとしたとき、ずっと前を見ていた優が振り返ってきた。
「...!どうしたの..?」
私がそう聞くと、そっと繋いでいた手を離して、優は苦しそうな顔をして口を開いた。
「あぁ...俺、みずきに、何かしたのかなって..」
「え?」
私は意味が分からなくて首をかしげる。
「何で、そんなこと聞くの?」
「だって、最近みずき...俺と目、合わせようとしないし..。笑ってくれなくなった..から。」
[!...優も気づいてくれてたんだ。..ってダメじゃん!優、自分が悪いと思っちゃってる。]
そのことに気付いた私は急いで優に言った。
「ちがうよっ優は何も悪くない。私が勝手に...!?」
「勝手に...何?」
「な...なんでもないよ。」
そう言ってごまかして優から離れようとしたとき、優に手を掴まれた。
「....っ!」
「なんでもないって顔じゃないよ?..本当は、俺になんかあるんじゃないの?」
そう言った優は少し苛立っていて、掴まれた手が少し痛かった。
けど、振り払おうとして、もがいてもほどけない。
「離して...!痛いっ優...!」
「嫌だ、離さない。みずきが本当のこと言うまで、離すつもりはないから。」
優の言葉通り、手の力はさっきよりも強くなった。
[痛い...痛いよ...!]
もう何も考えれなくなって、頭も心もぐちゃぐちゃになった。
「離してよっ!!何にもないんだってば!!!」
「あっ....」
私がそう叫ぶと、優の力は呆気なく弱まり手を離した。
[もう、最低だ...私。勝手に優を巻き込んどいて、挙句には八つ当たりなんて...。]
「...っうぅ...うぅ...」
自分のしたことに気付いたときには遅く、情けなくて涙がこぼれた。
「...ごめん、な..さい..!」
どれだけ全身に力を入れても、涙は止まらなくて、私は逃げるようにその場から逃げだした。