Dreamer
私はあの後、カラオケ部屋には戻らず、咲にメールだけして家に帰った。

家に着くなり、咲から電話がかかってきた。

--「もしもし..」

--「みずき!何があったの?帰ってきたのは優だけで、その優もなんか元気ないし...喧嘩でもしたの?」

--「喧嘩っていうか、私がわがままだけっていうか..。ごめん、明日ちゃんと話すから今日は..」

そう言っただけなのに分かってくれたのか咲は、"元気だしなよ"とだけ言って電話を切った。

ベットに転がってため息をついた。

「..明日、どんな顔して優と会えばいいの...?絶対怒ってるよね..」

今までたくさん助けられて、元気づけられて...なのに、私は優に何もしてあげれない。

"ありがとう"も"ごめんね"も、"好き"っていうこの気持ちも伝えれてない。

それで、もう友達でもなくなっちゃうのは..嫌だ。

「...よっし!明日ちゃんと謝ろっ!!」


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「なるほどね...んで張り切って寝たら、目覚まし時計をセットするの忘れて、2時間目に登校ってことですか。」

「は、はい..」

ただ今私、松永みずきは、すごく怒られています。(汗)

怒っているのはもちろん、私の前で椅仁王立ちで腕を組んでいる、前橋咲です...。

「昨日、あんなに心配して元気づけてあげようと、朝から待ってたのに来ないわ!なんか決心つけちゃってるわぁ!...」

「ごめんなさいっ!」

怒鳴られると思っていたのに、咲は怒鳴らなかった。

「もうちょっと、私のこと頼ってくれてもいいんじゃない?」

そう言って笑ってくれた。

「うん、ありがとう!..さっそく頼っちゃってもいい?」

「もちろん♪」

「あのね、優を放課後、学園の屋上に連れてきてほしいんだ。私が本当に伝えたかったことを話したいの。」

私がそう言うと、咲は拳を作って言ってくれた。

「任せてよっ!」

その咲の後ろから、いつの間に教室にきたのか達也の姿があった。

「僕も協力するよ。そのために優に気付かれないようにきたんだから。」

「さっすが私の弟!」

バンッ!!

「うっ!?あ..ははは..」

咲に背中を叩かれて達也は痛そうだった...(笑)

[それはともかく!二人に言わなきゃ。]

「咲、達也、ありがとう。私、頑張るね!」

「「うん!」」

二人はそう言ったあと、すごく似た笑顔を見せてくれた。
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