Dreamer
「できたっ」

私は心地いい風が吹く学園の屋上で、最後の調整を終えた。

あとは、優たちがくるのを待つだけ。

[大丈夫、どんな結果に終わっても私は...!]

ギィーッ!

「..!」

ゆっくり振り返ればそこにいるのは、やっぱり優で。

優は少し驚いたような顔をしながら、私の方に歩いてきた。

そして、手を伸ばせば届く距離で足を止めた。

「あ...のな、みずきっこの前は...」

「優っ!!」

「...!?」

私は、優が言おうとしてるの遮って声を張り上げた。

[自分の方から遠ざけてしまった...だから、私から言わなきゃ..!]

「..聞いてほしいんだ...私の、本当の気持ち。」

そう言って優の顔を見ると、優は真剣な顔で私の言葉を聞いてくれていて、大きくうなづいた。

「ありがとう...じゃあ。」

私は、数歩後ろに下がり目をつむりながら、息を吸い込んだ。

そして目を開けると同時に、声をだした。


「♪----君に伝えたいことがあるんだ
 ----多くの微笑みをくれた君に...

 
----まずは何から言えばいいのかな?
 ----たくさん言いたいことがあって うまく伝わるか分からないけど
 ----最初は この言葉を伝えるよ 
----少し照れくさいけど ずっと言いたかった言葉 
 ----ありがとう の言葉を...


 ----わがままな私は いつも君の優しさに甘えていた
 ----素直になれなくて 君を傷つけてしまった日
 ----胸が苦しくなって 涙がこぼれ落ちた
 ----あの日 言えなかった言葉は
 ----ごめんね の4文字...」


歌い始めたとき、ばれないようにこっそり優の顔を見ると

優は目を見開いて、驚いていた。



[お願い。届いて!]

私はそう願いながら、歌い続けた。


「♪----君に伝えたいことは 次で最後
  ----いつからかって 考えてみたけど わからなかった
  ----でも 一つだけわかることがあるんだ
  ----それは 君を思うと温かくなれる この気持ち
  ----聞いてほしいんだ 君に...♪」



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「ふぅ...」

深呼吸して私はすぐに顔を下に向けた。

こうでもしないと、泣いているのがばれてしまうから。

平気を装って、優に話す。

「どうだった?あははっ変な歌だけど、自分なりに考えたんだぁ。
私、優にひどいこと言っちゃったこと、謝りたくて。
いつも優しくしてくれることも。...あと、あとね..えっと..わ、たし..ね」

[ヤバい、声が...]

自分の声が震えていることに焦っていたとき、頭上から優しい声が降ってきた。

「みずき、ありがとうな。お前の気持ち、すごく伝わったよ。」

[っ!やめてよ...そんな優しい声で、笑顔で笑わないでよ...私は、まだ...言いたいことあるんだよ?]

「んじゃ、仲直りしたし、一緒に帰るか?」

そう言って歩き出した優。

[待って...待ってよっ...!]

思いが溢れて、私は声をあげた。
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