Dreamer
[...うぅ。]

自分で乗ると決めたけど、やっぱり恐怖心は消えない。

でも、優にも楽しんでほしいからこんな所でやめられない。

そんなことを考えているうちに、あっという間に私たちの順番が来た。

「次の方、どうぞ!」

定員さんに呼ばれ、乗り物に乗り込む。

優との距離が近すぎるし、恐怖心と不安で心臓が破裂しそうだ。

「まもなく発進しまーす!」

お構いなしにジェットコースターは動きだし、ガタガタと音をたてて空へ上がっていく。

「もうすぐだな!みずきっ!」

「う、うん..!そう、だね..。」

優にバレないように、笑顔を向ける。

そして、とうとう...空から地面へ落下した。

「ぎゃあああああああ!!!」

「あはははは!!!」

悲鳴をあげている私のその隣で優は、楽しそうに笑っていた。

「いやあああああああ!!」

けれど、私は笑うことなく、悲鳴はジェットコースターが終わるまで続いたのだった。




「大丈夫か、みずき?ごめんな...俺、お前が絶叫系苦手だって知らなくて..。」

優の表情が曇っていく。

[そんな顔しないで..私は、優の笑顔が見たかったんだ。だからっ]

「優のせいじゃないよっ!...確かに怖かったけど、優が私に優しくしてくれるみたいに、私も優のために何かしたいって思って---えっ?」

「ごめん、なんか体が勝手に動いて...。」

すぐには何が起こったか分からなかった。

気付いたときには優の腕の中にいて、優の声が耳元で聞こえた。

「みずき、ありがとう。すっげー...嬉しい。」

「うん..うん...!私も..嬉しい。」

優の言葉を聞いた瞬間、涙がこぼれた。

震える声で気持ちを伝えたけれど、それでもまだ足りなくて、私は大きな優の背中を、力いっぱい抱きしめながら言った。

「優..大好き。」

「俺も大好きだよ、みずき。」

私の名前を呼びながら、さっきよりも強い力で優は、抱きしめ返してくれた。

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