Dreamer
「んじゃ、授業始めるよ~!」
「「お願いします!」」
帝先生は今日も気合が入っている。
そんな先生につられて、四人しかいないなんて思えないぐらい大きな声が出るようになった。
「じゃあ、今日もこの曲を練習する。この曲がオーディションの課題曲になるわ!
オーディションまで時間がないから、いつもより厳しくいくわよっ!!」
「はいっ!」
一人ずつ横に並び、先生の指揮で練習していくのが帝先生の教え方。
この歌は何回も練習しているから、ちゃんと歌える自信がある。
...だけど、曲のイントロが流れ出して、歌おうとした時だった。
「っぁ..!?..ぁっ...!」
隣の生徒のみんなは歌っているのに、私は歌えなかった。
「ぁぁっ...!ぅぁ...!」
---どれだけもがいて歌おうとしても、
声が...でなかった。
[なんで歌えないのっ!?出てよ、声!!]
「みずきっ!!待ってっ!やめなさい!!」
無理して声を出そうとしていた私に気付いた帝先生が走ってきた。
私の体を揺らして、やめさせようとしてくる先生に私は抵抗した。
ここで諦めてしまったら、もう一生歌えない気がしたから。
でも、大人に叶うわけがなく..。
「みずきっ!!!」
「...っ!」
「病院、行くよ。」
私は先生に引っ張られるように病院へ連れて行かれた。
-------------------------------------------------
いつ病院に来たのか分からないけど、ゆっくりと顔を上げると帝先生と病院の先生が向き合って話しているのが見えた。
先生たちから聞こえてくる言葉を、私は他人事みたいに感じていた。
「歌おうとすると声が出ないということは、精神的なことが問題だと思われます。
歌えるようになるかは、分かりません...。」
「そんなっ..!何か治す方法はないんですか!?」
「時間と共に自然に治ることもありますが、何と言うこともできません。」
あんな泣き虫だったはずなのに、そんな言葉を聞いても、私の目からは涙は出なかった。
それから私は、帝先生に学園まで送ってもらって、教室に鞄を取りに戻った。
"精神的なことが問題だと思われます"
病院の先生の言葉を思い出しながら、廊下を歩いていた。
その"問題"が何なのかなんて、私は分かっていた。
"一緒に来なさい..!"
あの日、お母さんたちが離婚するって分かってショックだった私は、
どっちについて行くか聞かれたとき、迷ってしまった。
そして、そんな自分を無意識に責めて続けたあげく、みんなに嘘をついたから、
バチが当たったんだ...。
教室にやっと着くと、真っ赤に染まった夕日が私たちの机を照らしていた。
その瞬間、体から力が抜けていきひざまずいた。
「私..もう、歌えない..」
さっきは出てこなかった涙が流れて出して、私は誰もいない教室で泣き崩れた。
「「お願いします!」」
帝先生は今日も気合が入っている。
そんな先生につられて、四人しかいないなんて思えないぐらい大きな声が出るようになった。
「じゃあ、今日もこの曲を練習する。この曲がオーディションの課題曲になるわ!
オーディションまで時間がないから、いつもより厳しくいくわよっ!!」
「はいっ!」
一人ずつ横に並び、先生の指揮で練習していくのが帝先生の教え方。
この歌は何回も練習しているから、ちゃんと歌える自信がある。
...だけど、曲のイントロが流れ出して、歌おうとした時だった。
「っぁ..!?..ぁっ...!」
隣の生徒のみんなは歌っているのに、私は歌えなかった。
「ぁぁっ...!ぅぁ...!」
---どれだけもがいて歌おうとしても、
声が...でなかった。
[なんで歌えないのっ!?出てよ、声!!]
「みずきっ!!待ってっ!やめなさい!!」
無理して声を出そうとしていた私に気付いた帝先生が走ってきた。
私の体を揺らして、やめさせようとしてくる先生に私は抵抗した。
ここで諦めてしまったら、もう一生歌えない気がしたから。
でも、大人に叶うわけがなく..。
「みずきっ!!!」
「...っ!」
「病院、行くよ。」
私は先生に引っ張られるように病院へ連れて行かれた。
-------------------------------------------------
いつ病院に来たのか分からないけど、ゆっくりと顔を上げると帝先生と病院の先生が向き合って話しているのが見えた。
先生たちから聞こえてくる言葉を、私は他人事みたいに感じていた。
「歌おうとすると声が出ないということは、精神的なことが問題だと思われます。
歌えるようになるかは、分かりません...。」
「そんなっ..!何か治す方法はないんですか!?」
「時間と共に自然に治ることもありますが、何と言うこともできません。」
あんな泣き虫だったはずなのに、そんな言葉を聞いても、私の目からは涙は出なかった。
それから私は、帝先生に学園まで送ってもらって、教室に鞄を取りに戻った。
"精神的なことが問題だと思われます"
病院の先生の言葉を思い出しながら、廊下を歩いていた。
その"問題"が何なのかなんて、私は分かっていた。
"一緒に来なさい..!"
あの日、お母さんたちが離婚するって分かってショックだった私は、
どっちについて行くか聞かれたとき、迷ってしまった。
そして、そんな自分を無意識に責めて続けたあげく、みんなに嘘をついたから、
バチが当たったんだ...。
教室にやっと着くと、真っ赤に染まった夕日が私たちの机を照らしていた。
その瞬間、体から力が抜けていきひざまずいた。
「私..もう、歌えない..」
さっきは出てこなかった涙が流れて出して、私は誰もいない教室で泣き崩れた。