Dreamer
「とうとう、明日かぁ~!」
学園からの帰り道、私の後ろを歩いていた優が腕を上に伸ばしながら言った。
私も鞄を持ち直しながらうなづく。
「そうだね~。私、ちゃんと出来るかな...」
「っもう!みずきは弱気過ぎ!"私の歌声はすごいんだ"ってくらい堂々としてていいんだよ?」
無茶なことを言いながらも私を励ましてくれたのは、私の隣を歩いていた咲だった。
「でも~...」
そう言って苦笑いを浮かべた私に、クスクスと笑って振り返りながら達也が言った。
「まぁ、そんな謙虚なとこもみずきの性格だからね。」
「そんなことないと思うんだけどな~...。」
「でも咲が言ったみたいに、胸張っていいと思うよ?だって、みずきはみんなを笑顔にするんでしょ?」
達也の言葉にハッとなった。それと同時に心にあった不安がいつの間にか消えていった。
「...うん!ありがとう。」
達也と咲は、同じ笑顔で笑った。
「私のオーディションも明日になったんだよね~みんなより一日早く合格してやるつもりだったのに~!」
「えっ!?そうだったのか!?」
「嘘っ!?何でもっと早く言ってくれないのよ!咲~!!」
私と優の声が重なって顔を見合わせた。
「「あ....!」」
咄嗟に下を向いたとき私たちは気がついた。
咲たちに見られていることに。
「なーにイチャついてんの?このラブラブやろ~!」
「なっ...!イチャついてなんかないよ!!」
そう言ってももう遅かった。
咲にからかわれながら、達也に助けを求めても達也はニコニコ笑うだけで、優はなぜか堂々と肩を組んできた。
「まぁ確かに俺たちは仲良いからな~!」
「優まで何言ってるの!もう…」
優から顔をそむけてそう言うと、謝りながら優は頭を撫でた。
恥ずかしいけど、優に頭を撫でられるとホッとしてしまうから、¨やめて¨なんて言えないし言いたくなくなってしまう。
そんなことを考えていたら、あっという間にみんなと別れるところまで来ていた。
咲と達也がゆっくり輪から離れていって、私たちの方を向いた。
「..じゃあね、二人とも!明日会うときは、合格の紙持って学園だよ!」
「うん!」
「あぁっ!」
咲の言葉に大きくうなづいて咲とハイタッチを交わした。
「みんな、頑張ろうね!」
達也はそう言うと、小さく手を振って咲と帰っていった。
「....俺たちも帰るかっ」
「....うん。」
私がうなづいた瞬間、優に手を繋がれた。
「....!」
「行こ。」
子供みたいに笑って優は駅に歩き出した。
優と話していたら私が降りる駅まであと一つになっていた。
「もうすぐだな...」
「うん...」
優も同じことを考えていたのか外を見ながら握っていた手に力を入れた。
「あのさっ...優...」
〔まもなく到着します。お降りのお客様は―――〕
話しかけようとしたとき、電車のアナウンスが私の声を遮った。
「どうした?」
「私、明日...」
最後まで言えないまま、駅に着いてしまった。
私は降りてすぐ、閉まるドアより早く叫んだ。
「明日っ私、頑張るからっ!!だからっ..優も頑張って!!」
息を整えながら、ドア越しに優を見た。
「頑張るよっ!!みずきー!」
と優はドアから座席に走り、窓を開けて叫んできた。
「なにー!?」
「また明日なっ!!!」
「うんっ!!!」
私は電車の音に消されないように声を張り上げた。
遠ざかっていく電車を見届けて、私は息をはいた。
学園からの帰り道、私の後ろを歩いていた優が腕を上に伸ばしながら言った。
私も鞄を持ち直しながらうなづく。
「そうだね~。私、ちゃんと出来るかな...」
「っもう!みずきは弱気過ぎ!"私の歌声はすごいんだ"ってくらい堂々としてていいんだよ?」
無茶なことを言いながらも私を励ましてくれたのは、私の隣を歩いていた咲だった。
「でも~...」
そう言って苦笑いを浮かべた私に、クスクスと笑って振り返りながら達也が言った。
「まぁ、そんな謙虚なとこもみずきの性格だからね。」
「そんなことないと思うんだけどな~...。」
「でも咲が言ったみたいに、胸張っていいと思うよ?だって、みずきはみんなを笑顔にするんでしょ?」
達也の言葉にハッとなった。それと同時に心にあった不安がいつの間にか消えていった。
「...うん!ありがとう。」
達也と咲は、同じ笑顔で笑った。
「私のオーディションも明日になったんだよね~みんなより一日早く合格してやるつもりだったのに~!」
「えっ!?そうだったのか!?」
「嘘っ!?何でもっと早く言ってくれないのよ!咲~!!」
私と優の声が重なって顔を見合わせた。
「「あ....!」」
咄嗟に下を向いたとき私たちは気がついた。
咲たちに見られていることに。
「なーにイチャついてんの?このラブラブやろ~!」
「なっ...!イチャついてなんかないよ!!」
そう言ってももう遅かった。
咲にからかわれながら、達也に助けを求めても達也はニコニコ笑うだけで、優はなぜか堂々と肩を組んできた。
「まぁ確かに俺たちは仲良いからな~!」
「優まで何言ってるの!もう…」
優から顔をそむけてそう言うと、謝りながら優は頭を撫でた。
恥ずかしいけど、優に頭を撫でられるとホッとしてしまうから、¨やめて¨なんて言えないし言いたくなくなってしまう。
そんなことを考えていたら、あっという間にみんなと別れるところまで来ていた。
咲と達也がゆっくり輪から離れていって、私たちの方を向いた。
「..じゃあね、二人とも!明日会うときは、合格の紙持って学園だよ!」
「うん!」
「あぁっ!」
咲の言葉に大きくうなづいて咲とハイタッチを交わした。
「みんな、頑張ろうね!」
達也はそう言うと、小さく手を振って咲と帰っていった。
「....俺たちも帰るかっ」
「....うん。」
私がうなづいた瞬間、優に手を繋がれた。
「....!」
「行こ。」
子供みたいに笑って優は駅に歩き出した。
優と話していたら私が降りる駅まであと一つになっていた。
「もうすぐだな...」
「うん...」
優も同じことを考えていたのか外を見ながら握っていた手に力を入れた。
「あのさっ...優...」
〔まもなく到着します。お降りのお客様は―――〕
話しかけようとしたとき、電車のアナウンスが私の声を遮った。
「どうした?」
「私、明日...」
最後まで言えないまま、駅に着いてしまった。
私は降りてすぐ、閉まるドアより早く叫んだ。
「明日っ私、頑張るからっ!!だからっ..優も頑張って!!」
息を整えながら、ドア越しに優を見た。
「頑張るよっ!!みずきー!」
と優はドアから座席に走り、窓を開けて叫んできた。
「なにー!?」
「また明日なっ!!!」
「うんっ!!!」
私は電車の音に消されないように声を張り上げた。
遠ざかっていく電車を見届けて、私は息をはいた。