Dreamer
[うわぁ~..!人だらけだ..]
周りをキョロキョロしながら私が歩いているのは、床が赤色のカーペットの廊下。
私は今、控室に向かってる。
右も左も人だらけで、圧倒されながらも私は控室に到着した。
キラキラな扉を開けるとたくさんの人の中に準備をしてる人たちがいた。
「.....。」
誰一人話さない静かな部屋に私は足を進めた。
控室にいる人はみんな、集中した面持ちで自分の番を待っていた。
それから、一人また一人と順番が来て、控室から出ていく。
この部屋の空気に押しつぶされそうになりながら、私は受付でもらった資料に目を通していた。
[私は12番目か..。]
心の中でそう呟いていると、マナーモードになっていた携帯が振動した。
[あっ!優からだ!!]
声に出してしまいそうになったのをなんとか押さえてメールを見ると、そこに書いてあったのは、たったの一言。
<学園で待ってる。>
私はその文字を見たとき、昨日の咲の言葉が頭に響いた。
---"明日会うときは、合格の紙持って学園だよ!"---
[優...合格したんだ!]
嬉しさで手が震える自分に心の中で苦笑いしながら、返信を打っていたとき、控室の扉が開いた。
「続いて、12番の方!移動してください。」
「あっはいっ!!」
とうとう私の番が来て、急いでメールを打つ。
私は優にメールが届いたという文字を見届けて携帯を閉じた。
走って控室を出てスタッフのあとをついて行く。
歩きながら胸に手をあてると、今までにないくらい速く鼓動は刻んでいた。
「こちらです。」
スタッフの声に顔を上げると目の前には、どこの部屋よりも大きい扉があった。
「ご健闘をお祈りしております。」
そう言ったスタッフに軽くお辞儀をして、私は扉を手前に引いた。
「失礼します。」
閉じる扉の音に消えないように、少し大きめの声を出した。
私を待ち受けていたのは、男女四人の大人。
その人たちの前には、一つの椅子。
一歩ずつ近づいていき、私は口を開いた。
「12番、松永みずきです。よろしくお願いします。」
「では、オーディションを始めますので、さっそくあなたの歌声を聞かせてください。」
[....!!!]
そう言われた瞬間、私は気付いた。
この部屋には、音楽を流す機材がないことに。
前に座っている人たちの顔は平然として、その顔は私がどうするかを待っているようだった。
そんなプレッシャーに私の体は震えて、
頭の中が真っ白になりかけたとき、私は思い出した。
-----"きっと大丈夫よ"
そう言ってくれたお母さんを。
-----"頑張れ"--
頭を撫でてくれたお父さんを。
-----そして..いつも支えてくれた咲と達也と優のことを。
みんなの笑顔が浮かんだとき、体の震えは一瞬で止まった。
深呼吸をして私は歌う。
曲は、屋上で優に向けて歌った曲。
私は練習した日々や、みんなと出会えた喜びをこの歌にのせ、歌い始めた。
そして私の夢を支えてくれたみんなを思いながら、私は歌い切った。
「..これが私の歌です。ありがとうございました。」
そう言って頭を下げたとき、頭上から拍手が聞こえた。
驚いて頭を上げると、しかめっ面をしていた業界の人たちは笑顔で私の方を見ていた。
「あなたの歌、素晴らしかったです。」
「心がすごくこもっていて、ずっと聞いていたいと思いました。」
業界の人たちが順番に感想を言っていくのを、私はじっと聞いた。
そうして、一番右にいた人が歩きながら口を開いた。
「今まで、"いきなり音無しで歌え"と言われて、こんなに素晴らしく歌える人はいませんでした。あなたは良い歌手になると思いますよ。」
「....!!」
そう言いながら渡された紙は、合格と書かれたものだった。
嬉しくて涙が出そうになるのを抑えて私は頭を下げた。
それから私はこれからのことを業界の人...ではなく大橋さんという人に教えてもらって部屋を出ようとした時だった。
「松永さん、一つ聞いてもいいですか?」
振り向きながら"はい"と返事をすると、大橋さんは言った。
「松永さんの夢は、何ですか?」
突然の質問に驚きながらも、私は笑って答えた。
「私の夢は、"誰かを笑顔にできるような歌を歌うこと"です!!」
「いい夢です!これからもその夢を大事にしてくださいね。」
大橋さんはそう言うと私に小さく手を振った。
私は"はいっ!!"と返事をして部屋をでた。
ホッとすることもせずに私は走りだした。
みんながいる、桜丘学園に。
周りをキョロキョロしながら私が歩いているのは、床が赤色のカーペットの廊下。
私は今、控室に向かってる。
右も左も人だらけで、圧倒されながらも私は控室に到着した。
キラキラな扉を開けるとたくさんの人の中に準備をしてる人たちがいた。
「.....。」
誰一人話さない静かな部屋に私は足を進めた。
控室にいる人はみんな、集中した面持ちで自分の番を待っていた。
それから、一人また一人と順番が来て、控室から出ていく。
この部屋の空気に押しつぶされそうになりながら、私は受付でもらった資料に目を通していた。
[私は12番目か..。]
心の中でそう呟いていると、マナーモードになっていた携帯が振動した。
[あっ!優からだ!!]
声に出してしまいそうになったのをなんとか押さえてメールを見ると、そこに書いてあったのは、たったの一言。
<学園で待ってる。>
私はその文字を見たとき、昨日の咲の言葉が頭に響いた。
---"明日会うときは、合格の紙持って学園だよ!"---
[優...合格したんだ!]
嬉しさで手が震える自分に心の中で苦笑いしながら、返信を打っていたとき、控室の扉が開いた。
「続いて、12番の方!移動してください。」
「あっはいっ!!」
とうとう私の番が来て、急いでメールを打つ。
私は優にメールが届いたという文字を見届けて携帯を閉じた。
走って控室を出てスタッフのあとをついて行く。
歩きながら胸に手をあてると、今までにないくらい速く鼓動は刻んでいた。
「こちらです。」
スタッフの声に顔を上げると目の前には、どこの部屋よりも大きい扉があった。
「ご健闘をお祈りしております。」
そう言ったスタッフに軽くお辞儀をして、私は扉を手前に引いた。
「失礼します。」
閉じる扉の音に消えないように、少し大きめの声を出した。
私を待ち受けていたのは、男女四人の大人。
その人たちの前には、一つの椅子。
一歩ずつ近づいていき、私は口を開いた。
「12番、松永みずきです。よろしくお願いします。」
「では、オーディションを始めますので、さっそくあなたの歌声を聞かせてください。」
[....!!!]
そう言われた瞬間、私は気付いた。
この部屋には、音楽を流す機材がないことに。
前に座っている人たちの顔は平然として、その顔は私がどうするかを待っているようだった。
そんなプレッシャーに私の体は震えて、
頭の中が真っ白になりかけたとき、私は思い出した。
-----"きっと大丈夫よ"
そう言ってくれたお母さんを。
-----"頑張れ"--
頭を撫でてくれたお父さんを。
-----そして..いつも支えてくれた咲と達也と優のことを。
みんなの笑顔が浮かんだとき、体の震えは一瞬で止まった。
深呼吸をして私は歌う。
曲は、屋上で優に向けて歌った曲。
私は練習した日々や、みんなと出会えた喜びをこの歌にのせ、歌い始めた。
そして私の夢を支えてくれたみんなを思いながら、私は歌い切った。
「..これが私の歌です。ありがとうございました。」
そう言って頭を下げたとき、頭上から拍手が聞こえた。
驚いて頭を上げると、しかめっ面をしていた業界の人たちは笑顔で私の方を見ていた。
「あなたの歌、素晴らしかったです。」
「心がすごくこもっていて、ずっと聞いていたいと思いました。」
業界の人たちが順番に感想を言っていくのを、私はじっと聞いた。
そうして、一番右にいた人が歩きながら口を開いた。
「今まで、"いきなり音無しで歌え"と言われて、こんなに素晴らしく歌える人はいませんでした。あなたは良い歌手になると思いますよ。」
「....!!」
そう言いながら渡された紙は、合格と書かれたものだった。
嬉しくて涙が出そうになるのを抑えて私は頭を下げた。
それから私はこれからのことを業界の人...ではなく大橋さんという人に教えてもらって部屋を出ようとした時だった。
「松永さん、一つ聞いてもいいですか?」
振り向きながら"はい"と返事をすると、大橋さんは言った。
「松永さんの夢は、何ですか?」
突然の質問に驚きながらも、私は笑って答えた。
「私の夢は、"誰かを笑顔にできるような歌を歌うこと"です!!」
「いい夢です!これからもその夢を大事にしてくださいね。」
大橋さんはそう言うと私に小さく手を振った。
私は"はいっ!!"と返事をして部屋をでた。
ホッとすることもせずに私は走りだした。
みんながいる、桜丘学園に。