Dreamer
「ハァ..ハァ..」

息を切らしながら私は学園の門をくぐり、教室に向かう。

今日は土曜日で学校も休みだから、学園内はすごく静かだった。

階段を駆け上がって廊下を走ると、見えてきたのは1年2組の教室。

だけど、窓から教室をのぞくと誰もいなかった。

「誰もいないの~??」

そう言いながら教室に入ると、私の机の上に手紙が置いてあることに気が付いた。

<体育館に来られよ>

「ぷっ!ふふっ何これ!誰がやったかバレバレだよ。」

手紙に独り言を言ってから私は体育館に向かった。




[どれだけ走らせるのよ~]

そう思いながら体育館をのぞくと、やっぱりいた。

「ちがうってそこはもっと派手に書かなきゃっ!!」

「ここはこれでいいんだよっ!!」

「二人とも喧嘩してたら、みずき来ちゃうよ~!」

言い合う二人とそれを止める一人。

そんな光景に笑いながら、私はそーっと体育館に入って大声で叫んだ。

「なーにやってるの!!!!みんなぁっ!!!!」

「「「うわぁっ!?!?」」」

三人は口をそろえて驚いて、バッと振り向いた。

「みずきっ!?驚かせんなよ~!!」と優。

「ホントだよ!!来たんなら来たって言ってよね~!!」と咲。

「もう、二人がもたもたしてるからバレちゃったじゃん。」と達也。

みんなの反応に笑いが止まらなくて、そんな私を見てみんなも笑い出した。

私たちの声が響いた体育館は、三人の手によって鮮やかに飾り付けられていた。



「あ~笑った笑った。」

咲がお腹をさすりながら言った。

優は"そうだな"と短い返事をすると、全員に問いかけた。

「みんな、準備はいいか?」

「「うん!」」

私も咲たちも、優のすることは分かっていた。

「せーのっ!!」

その掛け声で私たちが自分の前に出したのは、合格通知。

四枚の紙を見てから私たちは顔を見合わせて、微笑んだ。

「やったね!!」

達也の言葉に大きくうなづいて私たちは体育館の床に寝転がった。

「これでみんな夢に近づいたんだな。」

優の言葉に私は返事をする。

「そうだね。でも、まだまだこれからだよね!」

「当ったり前よ!私の夢は始まったばっかなんだから!!」

私の右隣にいた咲が、天井に向かって拳を突き上げた。

「ふふっ僕だって負けないよ!」

達也も咲の隣で声を張り上げなら、拳を上げた。

"私だって!!"

そう言って、左手を上げようとしたとき優の右手が重なった。

驚いて左に首を動かすと、優は笑っていた。

「...?」

そして私が笑い返した後に、優が私に言ったことを私は忘れないと心に誓った。




それから学園からの帰り道。

「ねぇねぇ、お祝いにラーメン食べに行こうよ!」

そう言って振り返った咲に私は笑いながら、口を開く。

「咲なら絶対言うと思ったよ。」

「俺もー!」

「あっ僕もー!」

優と達也は手を上げてそう言った。

咲は頬を膨らませて、腰に手を当てて言った。

「みんな、ひっどー!私をいじめた罰として、ここからラーメン屋さんまで走って一番遅かった人は、みんなのラーメンを奢るってことで!!」

「えっ!!」

「よーいドンッ!」

私の声も聞かず、咲の合図で三人は走りだした。

「ちょっと待ってよ~!!」

三人の背中を追って私も走る。


この長い下り坂を走りながら私は考えていた。

"この長い道みたいに、私たちの夢は続いていくんだ"って。

そう思ったとき、吹いていた風を私は心強く感じた。


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