ヒールの折れたシンデレラ
――瞬間
急に腰をぎゅっと引き寄せられてそのまま唇が重なる。
いきなりで半開きだった千鶴の唇を割ってミネラルウォーターとともに、宗治の官能的な舌が侵入してきた。
のどを生ぬるい水分が通過するころには、千鶴の口内のいたるところを宗治に味わわれていた。
「……あ、あふっ」
千鶴は自分の声とは思えない声に戸惑いながらも、必死に宗治に応える。
しばらくしてやっとその官能的な唇から解放されると、力なく宗治の胸に自身を預ける形になった。
「こんなのやっぱりズルいです」
拗ねたようにつぶやく千鶴のつむじに宗治は一つキスを落とした。
「ごめん。我慢がきかなくて。前にも言ったけど俺、千鶴が思うよりも全然器用じゃないから」
すると今度はひざ裏に腕を入れられて、千鶴の体がぐらり傾く。
「暴れると落ちちゃうから気を付けて」
そんなこと言われるとじっとしているしかない。
抱きかかえられ自分の手を宗治の首に回した。
大きなベッドにゆっくりとおろされる。
二人で寝ても充分な広さのベッドだが今の千鶴にそんなことを考える余裕はさらさらなく、目の前にある宗治の熱に潤んだまなざしを見つめ返すことで精一杯だった。
ベッドに腰掛けた状態の千鶴の前に宗治がひざをついて座っている。