ヒールの折れたシンデレラ
「それで原因は何だったんですか?」

仲直りさせるもなにも原因がわからないのであれば間に入ることなどできない。

すると妃奈子は今までと打って変わったように黙り込む。

そしてしばらくの沈黙の後つづけた。

「私です。私が原因なんです」

絞り出したような小さな声でそう答えた妃奈子さんの顔は苦渋にみちていた。

そしてその表情をみた千鶴は言いようのない、ほの暗いものが胃の中に落とされたような気がした。

「私あの兄弟とは幼馴染なんです。いつも三人でいて……実は私ずっと竜くんが好きだったんですけど、全然相手にされなくて」

目を伏せて当時のことを思い出しているのだろうか。

「そんな時、宗ちゃんに告白されたんです。だけど竜くんが好きだから断ったんです。でもそれでもいいって言われて私、宗ちゃんとお付き合いしました。五年前まで」

宗治がそこまでして妃奈子さんと付き合いたかったのかと思うと千鶴の胸は締め付けられた。

「約四年付き合いました。結婚の話も出てなかったといえば嘘になる」

(結婚……)

「でもそんな時、竜くんが葉山の家を出るって聞いて」

語尾が震えている。

「私我慢できなかった。あのまま黙って宗ちゃんと付き合っていればよかったのかもしれない。だけど彼を傷つけるってわかってても竜くんについていきたかったの。どうしても、どうしてもっ」
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