ヒールの折れたシンデレラ
経理課のある五階のフロアにもどった千鶴を同期で親友の佐々木理乃(ささきりの)が待ち構えていた。
「一体どこいってたのよ!」
地下の薄暗い倉庫でひとり格闘していたのにあんまりな言い方をされた千鶴は思わず口をとがらせた。
「どこって、資料室」
「そんなのどうだっていわよ。早く連絡票確認して」
そう言われてデスクに戻ると、一気に視線をむけられて戸惑う。
スリープ状態のパソコンにパスワードを入力した。
その間もこそこそと話しする声と視線が千鶴を不安にさせる。
(一体みんなしてどうしたっていうの?)
グループウェアを立ち上げて、社内連絡票のアイコンをクリックする。
(ん?辞令?)
時期外れのしかも月の中ごろに出るはずもない辞令。
それをみてなんだか嫌な予感がする。
そして意を決してデーターを開いた。
そこには千鶴の名前と秘書課への移動の旨が記されいる。
「ひっ……秘書課ってそんなはずないじゃない!」
思わずフロアに響く声をだして、急いで口元を押さえる。
「内示もなしに異動になるなんて前代未聞よ。それに秘書課だなんて」
理乃にそう言われて理由を考える。
(秘書検定を持っているわけでも特別美人でもない。そんな私がどうして秘書課なのか……。)
考えながらふと辞令の日付を見ると、本日付での異動になっている。
すると経理課長が近づいてきて声をかけてきた。
「と、いうことで今日から瀬川は経理課勤務じゃなく秘書課勤務だ。頑張れよ」
そういって背中をバンっとはたかれた。
ボー然としていると千鶴のデスクの電話が鳴った。内線を取ると女性の声が聞こえる。
「瀬川さん。今すぐ二十階の役員フロアまで来てちょうだい。着いたらエレベーター前にいる秘書に声をかけて」
そういって、どこの誰からかわからない電話はガチャリと切れた。
(二十階って最上階じゃない、そこにあるのって……)
一つの考えにたどりついて、千鶴は血相を抱えてエレベーターホールへと走った。
エレベーターに飛び乗り入社して今まで一度も押したことがない二十階というボタンを押した。
「一体どこいってたのよ!」
地下の薄暗い倉庫でひとり格闘していたのにあんまりな言い方をされた千鶴は思わず口をとがらせた。
「どこって、資料室」
「そんなのどうだっていわよ。早く連絡票確認して」
そう言われてデスクに戻ると、一気に視線をむけられて戸惑う。
スリープ状態のパソコンにパスワードを入力した。
その間もこそこそと話しする声と視線が千鶴を不安にさせる。
(一体みんなしてどうしたっていうの?)
グループウェアを立ち上げて、社内連絡票のアイコンをクリックする。
(ん?辞令?)
時期外れのしかも月の中ごろに出るはずもない辞令。
それをみてなんだか嫌な予感がする。
そして意を決してデーターを開いた。
そこには千鶴の名前と秘書課への移動の旨が記されいる。
「ひっ……秘書課ってそんなはずないじゃない!」
思わずフロアに響く声をだして、急いで口元を押さえる。
「内示もなしに異動になるなんて前代未聞よ。それに秘書課だなんて」
理乃にそう言われて理由を考える。
(秘書検定を持っているわけでも特別美人でもない。そんな私がどうして秘書課なのか……。)
考えながらふと辞令の日付を見ると、本日付での異動になっている。
すると経理課長が近づいてきて声をかけてきた。
「と、いうことで今日から瀬川は経理課勤務じゃなく秘書課勤務だ。頑張れよ」
そういって背中をバンっとはたかれた。
ボー然としていると千鶴のデスクの電話が鳴った。内線を取ると女性の声が聞こえる。
「瀬川さん。今すぐ二十階の役員フロアまで来てちょうだい。着いたらエレベーター前にいる秘書に声をかけて」
そういって、どこの誰からかわからない電話はガチャリと切れた。
(二十階って最上階じゃない、そこにあるのって……)
一つの考えにたどりついて、千鶴は血相を抱えてエレベーターホールへと走った。
エレベーターに飛び乗り入社して今まで一度も押したことがない二十階というボタンを押した。