ヒールの折れたシンデレラ
しばらくすると、こぼれそうなほどの具材を乗せたカップが運ばれてきた。

千鶴はそれをスプーンでくるくるとかき混ぜて鉄板の上に“ジュウ”とひっくり返した。

「鰹節はひっくり返す前にのせると香ばしくておいしくなるんですよ」

豆知識を披露しながら手早くひっくり返した千鶴に宗治が小さな拍手を送ってくれた。

「こっちの俺にやらせて」

そう言いながら千鶴の手から大きなコテを奪う。

「ちゃんとやってくださいよ～ゆっくりですよゆっくり」

千鶴のアドバイスもむなしく、「せーの」と言いながら宗治がひっくり返したお好み焼は半分から真っ二つに割れ
ていた。

「あ～あ」

残念そうに言う宗治が可笑しくてクスクスと笑う。

「何でも器用にやりそうなのに、案外不器用なんですね」

「ほっておいてくれよ。もともと俺はそんなに器用なタイプじゃない」

そういいながら唇を尖らせる宗治がますます可笑しくて笑いが止まらなかった。

出来上がったお好み焼をふたりで半分ずつ、「はふはふ」言いながら食べる。
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