ヒールの折れたシンデレラ
困っているとマンションにタクシーが止まった。

バックミラー越しに、宗治のことも一緒におろしてほしいと訴えかけられて、千鶴はこれ以上どうしようもないと思い、ふらふらしている宗治と一緒にタクシーを降りた。

こんなところに置き去りにするわけにもいかない。

千鶴は意を決して自宅へと宗治の重い体を支えながら歩いた。

「重いっ!」

やっとのことで宗治を部屋に運びソファに座らそうとしたが、どさりとその前に座り込む。

ソファを背もたれにして、そのまま動かなくなってしまった。

急いでミネラルウォーターをグラスに入れて渡そうとしたが、それを受け取ることなくまた眠りについた。

その顔を見ていると、なんだか千鶴も急に疲れと眠気が押し寄せてきた。

思わず隣に腰をおろすと、そのままゆっくりと閉じられる瞼に逆らうことなどできずに眠りについた。
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