ヒールの折れたシンデレラ
***
朝、宗治は閉じた瞼に光を感じて目を覚ました。変な体制で寝たのか体中が痛い。
ただ心は気持ちのよい眠りによって、久しぶりにリラックスできている。
ゆっくりと目をあけるといつもとは見慣れない風景にまどろみは一気に吹き飛ぶ。
そして自分が右手で何かを握っているのを感じ視線を落とす。
(……っ!)
そこで目に入ったのは自分の右手がしっかりと千鶴の左手を握っている様子だった。
指と指がからまり、そこだけ見ると二人の関係の親密度合はかなりのものだった。
驚いて右手を引っ張ってしまうが、しっかりと握られていたので千鶴の体も一緒に宗治のほうへとしなだれかかってくる。
肩に千鶴の頭がのる、思わず見つめていると長い睫の閉じていた瞳がおもむろに開く。
そして宗治と目が合うと、何度かパチパチと瞬きをして最後に大きく目を見開いた。
「な……なんで」
千鶴の第一声を聞いて宗治が口を開く。
「それ、俺も今同じこと思ってる」
そういうと、密着している今の体勢に気が付いたのか慌てて立ち上がり宗治から離れた。
「あ、あの、昨日常務タクシーで眠ってしまわれてですね……」
慌てた様子で説明する姿がおかしくて、ついついからかってしまう。
両手を胸の前でクロスさせて自分をかばうようにして上目づかいで言う。
「何もしてない……よね?」
「な、な、何言ってるんですか!私は親切でここまで大変な思いをして運んできたのに」
真っ赤な顔をして怒る千鶴を見ると、とうとう宗治は笑いを我慢できなくなり思い切り吹き出した。
朝、宗治は閉じた瞼に光を感じて目を覚ました。変な体制で寝たのか体中が痛い。
ただ心は気持ちのよい眠りによって、久しぶりにリラックスできている。
ゆっくりと目をあけるといつもとは見慣れない風景にまどろみは一気に吹き飛ぶ。
そして自分が右手で何かを握っているのを感じ視線を落とす。
(……っ!)
そこで目に入ったのは自分の右手がしっかりと千鶴の左手を握っている様子だった。
指と指がからまり、そこだけ見ると二人の関係の親密度合はかなりのものだった。
驚いて右手を引っ張ってしまうが、しっかりと握られていたので千鶴の体も一緒に宗治のほうへとしなだれかかってくる。
肩に千鶴の頭がのる、思わず見つめていると長い睫の閉じていた瞳がおもむろに開く。
そして宗治と目が合うと、何度かパチパチと瞬きをして最後に大きく目を見開いた。
「な……なんで」
千鶴の第一声を聞いて宗治が口を開く。
「それ、俺も今同じこと思ってる」
そういうと、密着している今の体勢に気が付いたのか慌てて立ち上がり宗治から離れた。
「あ、あの、昨日常務タクシーで眠ってしまわれてですね……」
慌てた様子で説明する姿がおかしくて、ついついからかってしまう。
両手を胸の前でクロスさせて自分をかばうようにして上目づかいで言う。
「何もしてない……よね?」
「な、な、何言ってるんですか!私は親切でここまで大変な思いをして運んできたのに」
真っ赤な顔をして怒る千鶴を見ると、とうとう宗治は笑いを我慢できなくなり思い切り吹き出した。