ヒールの折れたシンデレラ
「お察しの通り、一緒に朝を迎えたんだよ」

冗談めかして本当のことを話すと、それに顔を真っ赤にして千鶴が反応する。

「そんな、なんかあったみたいに言わないでください!あれは仕方なくですから!だいたい散々遊んでるくせにお酒に弱いってどういうことですかっ」

そう慌てて否定する姿が必死過ぎて笑える。

「ギャップに萌えるだろ?」

「はぁ?」

二人のやり取りを見ていた勇矢がにやにやとみている。

「ふーん。そういうこと?」

その言葉に千鶴が反応する。

「そういうことってどういうことですかっ?それに課長しゃべり方がなんかいつもと違います」

「あぁ、まだ言ってなかったか?俺たちは上司と部下の前に幼馴染なんだ」

「はぁ?」

まだ理解ができていない様子の千鶴に宗治が重ねて説明する。

「勇矢と俺は小学校からの同級生。葉山に入るときに俺の秘書として一緒に入社してもらったんだ」

「そう、だったんですか。今まで完璧な秘書具合だったんで気が付きませんでした」

「ちなみに、眼鏡をとったら幼馴染モードだから今みたいな感じになる」

「なんだか変身ベルトみたい」

千鶴のたとえに宗治と勇矢は吹き出し笑い始めた。

「二人して笑わなくてもいいじゃないですか」

ふてくされた様子でシナモンロールを口に運ぶ飾らない姿が宗治には新鮮で、つい見つめてしまう。
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