ヒールの折れたシンデレラ
叔父の好きだった料理をご馳走になり、昔話をしてなつかしい時間をすごした。

つらい思い出もあるこの家だが、楽しい思い出もたくさんある。

だからこそ取り戻さないといけない。あの絵も、自分の大事な思い出も。

そうすれば自分の自分に対する考えも変わるかもしれない。

食事が終わると、煌太が千鶴をマンションまで送ってくれる。

「電車で帰るからいいのに」

「俺は今でも自分のことを千鶴の兄だと思ってる。だからたまに会ったときぐらい兄らしいことさせてくれよ」

そういわれると千鶴もうなずくしかない。

二人を乗せた車が来た道を戻っていく。

途中千鶴は鞄の中にスマホが入ってないことに気が付く。

そういえば昼間煌太から時間の連絡があった時に使って、そのあと華子に仕事を頼まれて急いで引き出しに入れたのを思い出した。

煌太に会社でおろしてほしいと伝え、迎えに来てもらっていた場所に車を止めてもらった。
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