ヒールの折れたシンデレラ
第三章
(1)敵前逃亡
「食事ですか?今日、お約束ありましたっけ?」
千鶴は宗治のスケジュールを思い浮かべる。
「いや、今日は夕方以降特に仕事の予定は入ってない。金曜だしよかったら飯にいかないか?」
これは予定がキャンセルされたから誘ってきているのではなく、わざわざ千鶴を誘っているということだ。
千鶴が考えていると宗治が続ける。
「こないだのお好み焼のおごってもらったお礼だよ」
いろんなことを考えると行かないほうがいいのかもしれない。だけど千鶴の口からは自然と「楽しみにしています」という言葉しかでてこなかった。
満面の笑みとともに。
その日の千鶴は自分でも驚くほど、うきうきした気分だった。
普段なら嫌になるような書類の山も今日はどんどん減っていく。
華子や艶香に押し付けられた仕事でさえも笑顔で受けてしまう自分が単純すぎて笑えるほどだった。
鼻歌まで歌いだしそうになりながら、給湯室で後片付けをしていると園美がやってきて手伝ってくれる。
「園美ちゃんありがとう」
にっこりほほ笑むと園美が不思議そうに聞いてくる。
「今日はずいぶん楽しそうですね。何かあるんですか?」
不意に聞かれて答えに迷う。
千鶴は宗治のスケジュールを思い浮かべる。
「いや、今日は夕方以降特に仕事の予定は入ってない。金曜だしよかったら飯にいかないか?」
これは予定がキャンセルされたから誘ってきているのではなく、わざわざ千鶴を誘っているということだ。
千鶴が考えていると宗治が続ける。
「こないだのお好み焼のおごってもらったお礼だよ」
いろんなことを考えると行かないほうがいいのかもしれない。だけど千鶴の口からは自然と「楽しみにしています」という言葉しかでてこなかった。
満面の笑みとともに。
その日の千鶴は自分でも驚くほど、うきうきした気分だった。
普段なら嫌になるような書類の山も今日はどんどん減っていく。
華子や艶香に押し付けられた仕事でさえも笑顔で受けてしまう自分が単純すぎて笑えるほどだった。
鼻歌まで歌いだしそうになりながら、給湯室で後片付けをしていると園美がやってきて手伝ってくれる。
「園美ちゃんありがとう」
にっこりほほ笑むと園美が不思議そうに聞いてくる。
「今日はずいぶん楽しそうですね。何かあるんですか?」
不意に聞かれて答えに迷う。