私と敵と好きな人と


『また泣かされたら俺のとこおいで』


「ちょっと、からかわないでよっ」


『からかってないよ、まだ俺諦めてないからね』


にやっと目を細めて笑う優太の顔はどこか憎めなくて、

「勘弁してよ~」と反応に困るだけだった。


けど、今になってはこんなことになるなんて、

予想してなかったな……なんて。


『おっ、仕事だ。じゃあまたね』


「うん」


そう言って優太は走っていった。


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