ノーチェ


「ひゃあ!」

パッと急に明るくなった室内に思わずおぼんを持つ手がぶれる。

慌てて力を入れると、おぼんに乗せた小鍋がぐらりと揺れた。



「…うるせぇな。ちょっと静かにしろよ。」

「か、薫…。」


ベッドの上で電気のリモコンを手にした薫はそのままリモコンを枕元に投げた。

薫も枕に埋まるように
伏せてしまう。


驚いて速まった鼓動がうるさくて、とりあえず落ち着こうとおぼんをテーブルに置いた。

そして小さく咳払いをして背を向けてベッドに横たわる薫に話を掛けた。




「…薫?お粥、食べない?」

…………薫からの返答はない。



ふぅ、と一息ついて
あたしはお土産とカバンを棚の隅に置く。


「薫?ちゃんと食べなきゃ治らないよー。」


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