ノーチェ


自分でも意外な程、普通に喋れてる事に驚いた。

だけど、やっぱりハッキリしておかなきゃいけないんだと思う。



あたしの為にも、薫の為にも。



「ねぇ、薫。」

ぶつくさ愚痴をこぼしながら薫は面倒くさそうにベッドから降りると、お粥の入った鍋の蓋を開けて

「あ?何?」と返事をする。




「あ、あのさ…。」

今の今まで普通に喋れていたのに、やっぱりおじけづいてしまう。

意気地なしのあたし。


でも、『あの日のキスはなかった事にしよう。』だなんて言っていいのだろうか。



「ん、とさ…。」

どう話を切り出すか頭を悩ませてるあたしに
薫は平然とお粥を口に運びながら口を開いた。



「てかさ。俺、お前の誕生日祝いした日、酔ってただろ?」

「…へ?」




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