ノーチェ



……………



「合コン?」

次の日、桐生さんと別れた足で勤務に向かうと
更衣室でエプロンを纏う菜月が化粧をしながら言った。



「そう、合コン!」


マスカラを塗る手を止めてあたしに向き直る菜月は

「ね、行こうよ!どうせ暇でしょー?」

そう言って催促する。



「失礼な。あたしはいいよ、パス。」

「えー、何でよぉ!」

再びマスカラを睫毛に乗せて蓋を閉めた菜月は髪を一本に束ね始めた。


ただでさえ長い菜月の睫毛が弧を描きしなやかに瞬きに合わせて上下に揺れる。




「いい加減、彼氏欲しいでしょ?」

「…別に…。」



小さく呟くと、聞こえてなかったのか菜月はあたしの肩を叩いて

「じゃあ、今夜ね。」と店先へと出て行った。



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