ノーチェ
そんなあたしに業を煮やしたのか、菜月が突然隣に並んでくる。
そしてあたしの顔を覗き込むと口元をニヤリと上げて言った。
「そう言えば、薫くんとどうなってるの?」
「はっ?」
思わず、薔薇のトゲに刺されるところだった。
…てか、何で急に薫が出てくる訳?
「どうって、別に何もないけど。」
ぶっきらぼうに答えると菜月は「え~。」なんて言いながら不満気に顔をしかめる。
「何よ。」
「だって、二人仲いいじゃん。どうして付き合わないの?」
…どうして、って。
「そんなの、決まってるじゃん。友達だから。」
「友達?そんな事ないでしょー。」
肘を曲げてあたしをつっ突いてくる菜月。
「莉伊は、薫くんの事好きじゃないの?」
「……好きだよ、友達として、ね。」
まるで目につく物全てに疑問を感じる子供みたいに、菜月はあたしに質問を投げてくる。