ノーチェ
……………
汗をかいたグラスに
アイスティーがミルクと溶け合う。
ストローで回し、程よく掻き回ったところで彼女は口を開いた。
「ごめんなさいね、急にお呼び立てして。」
「いえ、今日は早番だったんで。」
あたしの返事に
そう、とだけ答えた百合子さんは砂糖もミルクも入れずにブラックコーヒーを一口飲んだ。
物寂しい夕暮れの店内で百合子さんは一際目立っている。
変な意味ではなく、ジーパンに白いTシャツから伸びる白い肌。
決して嫌味じゃないその美貌は、女のあたしから見ても息を飲む程美しいと思う。
…薫が想いを寄せた理由の一つが、何となくわかる気がした。
「…あの、あたしに話って…。」
「あ、ごめんなさい。大した事じゃないんだけれど。」